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2015年01月19日

日野・万願寺

1. 地域で考える自然エネルギー ~ 用水による小水力発電の可能性

亀津 照明

イベント種別:講演・講習会・交流対象者:指定なし

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都市の小水力発電!?日野の新たな地域起こしになるか!!

2015.1.17(土)
主催:日野の水車活用プロジェクト  学習会

本年1月17日(土)ひの市民活動支援センター でとても面白い学習会というか、講演会が開かれました。記者は上記タイトルを見て、うむむ、何だか面白そうな話だな、いつもの散歩道、 向島用水路の小さな水車を使って発電しようということかな? そんな事がほんとにできるのかな、と思いつつ講演会を覗いてみました。狭い会場は忽ち埋まって40~50名ほどの人でした。
まず主催者の <日野の水車活用プロジェクト> の多田啓介代表のプロジェクト発足の経緯と活動の簡単な説明があり、続いて今日の学習会の二人の講師が紹介された。
最初の講演は ノンフィクションライターの 高橋真樹氏による 「全国に広がるご当地電力の今」というタイトル。 二番目は明星大学理工学部准教授の藤村和正氏の「根川の流量観測から見えてきたもの」というお話です。
とても面白くて興味深い話でしたので記事が長くなってしまい、お一人づつの講演に分割して2ページになりました。ご容赦ください。


1.「全国に広がるご当地電力の今」
高橋真樹さん(ノンフィクションライター)は、ご自分でも身近な材料を使って自然エネルギーを作る工作教室をやっているそうで、例えば簡単な太陽光発電キットを作って、携帯電話やパソコンの充電をするとか、子供向けの工作でモーターを回したり、光をつけたりすることでごく身近に自然エネルギーの利用ができることを理解させるということです。
謂わば DIY (do it youself) の感覚で自然エネルギー造りが身近なものであることを体感し、自然エネルギーの利用に取り組んで地方の町起こし、村起こし、地域起こしに繋げて行くという考え方です。いくつかの興味深い事例をあげて話を進められました。

神奈川県の旧藤野町(現在、相模原市緑区)の<藤野電力の充電ステーション>、これは住民の手作りの設備でわずか¥30万の費用で出来ていて、住民が電動自転車や電動スクーターの充電に利用でき、緊急時の非常用電源としても使えるものだそうです。3.11後の自分たちの住む山間部のエネルギーを自前にしたいという発想がもとになっているそうです。
対照的な失敗例として高橋さんがあげたのは、ある自治体が電気自動車用充電装置を1億円かけて設置したが故障のため放置されたまま何の役にも立たない、税金の無駄遣い。
また沖縄のある自治体で風車を3本設置して風力発電を目指したが、台風で壊れてダメになってしまった。台風の通り道の沖縄で、台風で簡単に壊れる風車とは。

このことは自然エネルギー技術が駄目だ、ということではなく、開発や地域の自然エネルギー造りを、自治体や役所任せ、大企業任せにするとそのような馬鹿馬鹿しい結果になることが多いということで、市民や地域住民が積極的に関わることが何より大切ということ。

自然エネルギーへの地方での取り組みは以前からありましたが、東日本大地震と福島原発事故以来、そうした ご当地電力の動きが活発になってきているそうで、高橋さんは、いくつかのケースを取り上げた。そのうちの幾つかを簡単に紹介すると、

<福島の会津電力> は象徴的な事例です。プロジェクトの中心には喜多方の造り酒屋の社長さんがいます。原発事故によって酒造りの原料の美味しい米と水を一瞬にして奪われ必要悪だと思っていた原発の電力は福島には全く供給されてない事態に改めて気が付かされ、電力エネルギーを何とか自分たちの手に取り戻そうと活動を始め、自社の酒造りに必要な電力を太陽光パネルで賄うことを始め、自然エネルギーによる会津地方の電力自給の実現を目指しているそうです。将来的には会津の水力発電を東京電力から買い戻すことまで考えていると。

<都留市の小水力発電 元気くん1号、2号、3号> 市民出資のマイクロ水力発電で元々水に恵まれた都留市で環境教育や水の町のシンボルとして作られたようですが、日頃は市役所や農業施設の電力に利用されているそうです。全国から見学者多数くるとのこと。

<立山アルプス発電> 市民出資の本格的な小水力発電、立山、剣岳の豊富な水がある早月川の支流に主力約1MW(1000KW)の水力発電を民間の出資7億円を得てスタートし、ついに昨年2014年4月に営業運転を開始したそうです。

<小田原ほうとくエネルギー>100年前の小田原の山間部にあった小水力発電の跡を発掘して再利用、或いは町起こしにしようという市民運動。そして市と民間企業が連携をして小田原全体の地域貢献を考えた自然エネルギー、特に太陽光発電のメガソーラー発電所が2014年に稼働を始めたそうです。

<岐阜県郡上市白鳥町石徹白地区―限界集落の小水力発電>この雪深い山間部の集落にはかって小水力発電があったそうです。そこに東京で経営コンサルタントをしていた若者がやってきて、地元のNPOと協力して、小水力発電復活をめざした。小学校の存続さえ危ぶまれた集落に小さな水力発電の波紋が広がり、見学者が増え、カフェができ、村に若者の移住してくるようになり、やがてまた別の水力発電を全住民の合意と出資によって賄うというすごいことになった。この若者、平野彰秀さんの水力発電のアイデアに最初村人達は殆ど無関心、彼らの問題は村の小学校の存続、村の存続そのものだったのです。自前の小水力発電を目に見える形にして村人の意識を変えていった粘り強さもすごい。

高橋さんの話の要点は、ご当地発電、というのは自然エネルギーを自分たちの身近な問題として捉え、国任せ、大企業任せにしないことです。そこに住む地域住民が自分たちの為の自然エネルギー開発を自治体や行政、民間企業、と一緒に、そして何よりもコミュニティを大切に、積極的に話し合いの場に参加して地域起こしへと繋げてゆく地道な努力が大切だということでした。

それともう一つ、ロックバンドの「シアターブルック」のボーカル&ギタリストの佐藤タイジさんの、太陽光エネルギーで武道館ライブをやろう、のアイデアが圧倒的な周囲の反対を押し切り、大規模なロックイベントは大量の電気を使用するので太陽光発電で自前の電力を供給するなんて無理無理、と言われた「SOLAR BUDOUKAN」ロックイベントを実現させたのです。素人同然のミュージシャンの何とか自然エネルギーだけでイベントをやりたい、という思いが大勢の人を巻き込み、いろんな企業の助けやサポートを受けて形になってゆくことはとても示唆に富んでいます。小さな思いをひとつづつ形にしてゆくことが日本全国に自然エネルギーのネットワークを作り上げて行くことに繋がるのでしょう。


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